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03月05日-一般質問、委員会付託-05号

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  1. 新潟県議会 1991-03-05
    03月05日-一般質問、委員会付託-05号


    取得元: 新潟県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    平成 3年  2月定例会 本会議平成3年3月5日(火曜日)  議事日程 第5号    午前10時 開議第1 平成2年第175号議案第2 第56号議案から第78号議案まで第3 請願第1号から第6号まで第4 陳情第1号から第3号まで第5 県政に対する一般質問   ―――――――――――――――――本日の会議に付した案件 日程第1   平成2年第175号議案 決算の認定について(平成元年度新潟県一般会計・特別会計) 日程第2   第56号議案 平成2年度新潟県一般会計補正予算  第57号議案 平成2年度新潟県地域づくり資金貸付事業特別会計補正予算  第58号議案 平成2年度新潟県災害救助事業特別会計補正予算  第59号議案 平成2年度新潟県心身障害児・者総合施設事業特別会計補正予算  第60号議案 平成2年度新潟県中小企業近代化資金等助成事業特別会計補正予算  第61号議案 平成2年度新潟県中小企業設備合理化資金等貸付事業特別会計補正予算  第62号議案 平成2年度新潟県有林事業特別会計補正予算  第63号議案 平成2年度新潟県港湾整備事業特別会計補正予算  第64号議案 平成2年度新潟県都市開発資金事業特別会計補正予算  第65号議案 平成2年度新潟県流域下水道事業特別会計補正予算  第66号議案 平成2年度新潟県農水産高等学校実習費特別会計補正予算  第67号議案 平成2年度新潟県電気事業会計補正予算  第68号議案 平成2年度新潟県工業用水道事業会計補正予算  第69号議案 平成2年度新潟県新潟東港臨海用地造成事業会計補正予算  第70号議案 平成2年度新潟県病院事業会計補正予算  第71号議案 新潟県議会史編さん委員会の委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の制定について(全部改        正)  第72号議案 新潟県教育施設整備基金条例の制定について  第73号議案 新潟県産業振興基金条例及び新潟県産業振興貸付基金条例の一部改正について  第74号議案 新潟県保健婦、助産婦、看護婦及び准看護婦修学資金貸与条例の一部改正について  第75号議案 契約の締結について(奥三面ダム建設本体工事請負契約)  第76号議案 契約の締結について(新設高等学校(大和町)建築(第1工区)工事請負契約)  第77号議案 契約の締結について(新設高等学校(大和町)建築(第2工区)工事請負契約)  第78号議案 知事専決処分について(控訴の提起) 日程第3  第1号 安田町における土石採掘に伴う災害防止等に関する請願  第2号 湾岸戦争における日本の戦争協力に反対し、和平に向けて最大限の努力を求める決議等に関する請      願  第3号 県立看護系短期大学の設置(新発田市)に関する請願  第4号 「子どもの権利条約」批准促進についての意見書提出に関する請願  第5号 日本と朝鮮民主主義人民共和国との国交樹立についての意見書提出に関する請願  第6号 県立看護系短期大学の設置(上越地域)に関する請願 日程第4  第1号 外国人高校生の県内高等学校への受入れに関する陳情  第2号 湾岸戦争における核・化学兵器の不使用と早期終結及び日本政府の戦争協力反対等についての意見      書提出に関する陳情  第3号 大店法の改正反対についての意見書提出に関する陳情 日程第5 県政に対する一般質問(渡辺勇君、斎藤勲君)    ――――――――☆――――――――出席議員(55名)       清田 三吉 君  上村 憲司 君  天井  貞 君  渡辺 惇夫 君       大塩 満雄 君  砂山  愈 君  佐藤 元彦 君  種村 芳正 君       亘 太一郎 君  滝口 恵介 君  斎藤 耐三 君  石井  修 君       東山 英機 君  滝口 庸一 君  中原 八郎 君  増子 宏一 君       水倉 庄市 君  須藤 誠也 君  三富 佳一 君  丸山  保 君       相川 平松 君  中野  清 君  星野伊佐夫 君  広井 忠男 君       馬場潤一郎 君  細貝 幸也 君  小笠原正男 君  猪股悌二郎 君       轡田 勝弥 君  高山  巌 君  布施 康正 君  武田 武夫 君       古川  渉 君  高橋 十一 君  遠山 作助 君  高橋 誠一 君       安田  誠 君  近藤 正道 君  五十嵐 基 君  阪田 源一 君       成田  督 君  倉島和四蔵 君  帆苅 二三 君  渡辺  勇 君       小川 義男 君  椿  利策 君  中川 良一 君  米山 繁男 君       石塚 光雄 君  竹内十次郎 君  高橋 虎夫 君  福島  富 君       金子 一夫 君  高橋 正平 君  斎藤  勲 君   ―――――――――――――――――議員以外の出席者  知事          金子  清 君  副知事         厚地  武 君  出納長         大橋  威 君  総務部長        小川 和雄 君  企画調整部長      山﨑 市郎 君  民生部長        井上  廣 君  環境保健部長      上村  桂 君  商工労働部長      坂本 哲也 君  農林水産部長      近藤 琢也 君  農地部長        山口 保身 君  土木部長        會田  正 君  新潟東港開発局長    中島 信明 君  病院局長        久間 健二 君  企業局長        斎藤勢三郎 君  教育長         堀川 徹夫 君  人事委員会事務局長   本間栄三郎 君  警察本部長       中野 公義 君  地方労働委員会事務局長 酒井 正之 君  監査委員事務局長    今井九二男 君   ――――――――☆―――――――― △午前10時3分開議 ○議長(轡田勝弥君) これより本日の会議を開きます。   ――――――――☆――――――――人事委員会意見報告 ○議長(轡田勝弥君) 御報告いたします。 今期議会に提出された第23号議案及び第24号議案について、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を求めましたところ、諸君のお手元に配付のとおり意見の提出がありました。御了承願います。   〔意見書は付録に掲載〕   ――――――――☆―――――――― △日程第1 平成2年第175号議案 ○議長(轡田勝弥君) 日程第1、平成2年第175号議案を議題といたします。 普通会計決算審査特別委員長の報告を求めます。馬場潤一郎君。   〔馬場潤一郎君登壇〕 ◆馬場潤一郎君 ただいま議題となりました平成2年第175号議案、平成元年度決算の認定について、本委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。 本案は、去る12月定例会において継続審査となり、閉会中審査を重ねてきましたが、2月28日、その審査を終了したものであります。 審査の詳細は会議録に譲り、以下、審査の過程で述べられました主なる要望、意見についてのみ申し上げます。 まず、監査委員事務局関係として 県の出資団体に対する監査については、必要の都度と定められているとはいうものの、数年に1回程度の事務的な監査となっているので、実施回数をふやすとともに、関係部局と連携の上、経営面等も含めて実施すべきとの意見がありました。 次に、総務部関係として 1、県税の収入未済額については、依然として多額の状況にあるので、その縮減に一層努められたいこと。 また、生活困窮者に係る収入未済額については、実態を調査の上、不納欠損により処理すべきとの意見がありました。 2、未利用県有地については、遊休地として保有している実態にあるので、市町村等に貸し付けるなど、住民に寄与する活用方法を検討されたいこと。 また、売払収入の使途については、社会文化施設等整備基金への充当など、特定財源としての利用も検討すべきとの意見がありました。 次に、企画調整部関係として 交通安全施設については、年々整備がなされているものの、依然として交通事故が増加傾向にあるので、関係部局と連携し、その整備促進を図られたいこと。 次に、教育委員会関係として 1、小中学校の統廃合については、単に財政効率を重視することなく、地域住民との合意形成に努めるよう、市町村教育委員会を指導されたいこと。 2、小中学校の木造校舎については、温かみと潤いのある教育環境が形成されることから、教育効果の向上も期待されるので、その普及を市町村教育委員会に指導すべきとの意見。 また、校舎建設に当たっては、国に国庫補助負担率の引き上げを働きかけるとともに、県単補助事業の創設を検討すべきとの意見もありました。 次に、民生部関係として 母子・寡婦福祉資金貸付事業については、多年にわたり多額の償還未済額が発生している実態にあるので、その回収見通しや発生年次を勘案の上、不納欠損など未収金整理の方策を講じられたいこと。 また、事業の円滑な推進を図るため、資金枠を拡大すべきとの意見がありました。 次に、環境保健部関係として 1、理学療法士、作業療法士等については、リハビリテーション部門の充実に伴い、需要の増加が見込まれるので、養成を含めた需給計画を策定し、その確保に努められたいこと。 2、産業廃棄物広域処分場については、廃棄物処理が深刻化している現状を踏まえ、県としても未整備地区解消のため、その整備促進に一層努められたいこと。 次に、地方労働委員会関係として 同一労使間で相次いでいる不当労働行為事件の審査については、当該事件が社会的にも放置できない問題となっていることを踏まえ、その早期解決に一層努められたいこと。 次に、農林水産部関係として 1、酪農の振興に当たっては、本県の気候風土にかなった高能力で安価な素牛の導入方策を検討するなど、低コスト生産の推進に一層努められたいこと。 2、カラス等による農作物への被害防止を図るため、捕獲実績のある、おとりわなの活用など、抜本的な対策を講じられたいこと。 次に、公安委員会関係として 交通信号機については、いまだ多くの設置要望箇所があることから、第5次交通安全施設等整備事業五箇年計画において大幅な設置目標を掲げ、一層の整備に努められたいこと。 次に、土木部関係として 河川の維持管理費については、管理延長に比して予算が少なく、除草、伐木等が長期間行われていない箇所が散見されるので、その確保に一層努められたいこと。 次に、農林水産部、農地部、土木部共通事項として 県発注工事の指名業者の選定に当たっては、建設工事指名業者選定要綱の改正後も、依然として上位等級の業者の指名割合が高いことから、等級別発注の原則を一層徹底されたいこと。 以上が、審査の経過で述べられました主なる要望、意見の概要であります。 次に、議案採決に先立ち、各党党議結果の報告を求めたところ、自由民主党並びに民社党からは原案賛成。 社会党・県民連合からは、当初予算の審査において、消費税実施に伴う予算措置がなされていること、また、自衛隊、原子力発電及び強制減反等に関する予算が計上されていることから、反対したいところであるが、既に執行済みとなっているので、社会的影響等も考慮し、審査の過程で述べた要望、意見を付して原案賛成というものであります。 次いで採決を行い、原案のとおり認定すべきものと決した次第であります。 以上をもって報告といたします。   ――――――――――――――――― ○議長(轡田勝弥君) これより平成2年第175号議案を採決いたします。 議案のうち、まず、平成元年度新潟県一般会計歳入歳出決算を採決いたします。 本件に対する委員長の報告は認定であります。本件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕 ○議長(轡田勝弥君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり認定いたしました。 次に、同じく平成2年第175号議案のうち、平成元年度新潟県自治振興資金貸付事業特別会計歳入歳出決算、平成元年度新潟県災害救助事業特別会計歳入歳出決算、平成元年度新潟県母子福祉資金貸付事業特別会計歳入歳出決算、平成元年度新潟県寡婦福祉資金貸付事業特別会計歳入歳出決算、平成元年度新潟県心身障害児・者総合施設事業特別会計歳入歳出決算、平成元年度新潟県中小企業近代化資金等助成事業特別会計歳入歳出決算、平成元年度新潟県中小企業設備合理化資金等貸付事業特別会計歳入歳出決算、平成元年度新潟県農業改良資金貸付事業特別会計歳入歳出決算、平成元年度新潟県林業振興資金貸付事業特別会計歳入歳出決算、平成元年度新潟県沿岸漁業改善資金貸付事業特別会計歳入歳出決算、平成元年度新潟県有林事業特別会計歳入歳出決算、平成元年度新潟県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算、平成元年度新潟県都市開発資金事業特別会計歳入歳出決算、平成元年度新潟県流域下水道事業特別会計歳入歳出決算及び平成元年度新潟県農水産高等学校実習費特別会計歳入歳出決算を一括して採決いたします。 15件に対する委員長の報告はいずれも認定であります。15件を委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(轡田勝弥君) 御異議なしと認めます。よって、15件は委員長報告のとおり認定いたしました。   ――――――――☆―――――――― △日程第2 第56号議案から第78号議案まで ○議長(轡田勝弥君) 日程第2、第56号議案から第78号議案までを一括して議題といたします。 提出者の説明を求めます。金子知事。   〔知事金子清君登壇〕 ◎知事(金子清君) ただいま上程されました議案23件について説明申し上げます。 第56号議案は、平成2年度一般会計補正予算でありまして、総額133億565万円の追加補正についてお諮りいたしました。 このたびの補正予算は、県内における高等教育機関の整備を計画的に進めるための基金を創設いたしますとともに、美術品取得基金等の積み増し、スポーツ振興基金への助成、新潟南部地震に伴う災害復旧費の追加並びに大規模施設の計画的整備に要する財源を確保するため、社会文化施設等整備基金に積み増しを行うことといたしましたほか、新潟県文化振興財団の基本財産を増額し、本県における文化振興の中核的役割を担う組織として、拡充することといたしました。この結果、補正後の財政規模は1兆110億156万4,000円となった次第であります。 次に、その他の議案について説明申し上げます。 第57号議案から第70号議案までは、特別会計並びに企業会計に係る補正予算でありまして、それぞれ事業計画の最終見込み等に合わせまして、補正を行うものであります。 第71号議案から第74号議案までは条例案件であります。すなわち、第71号議案は、県議会史編さん委員会委員の報酬等の支給基準を定めるため、第72号議案は、県立女子短期大学等の整備に要する経費及び県内における私立大学等の整備に対する助成に要する経費に充てる基金の設置を行うため、それぞれ条例の制定を行うものであります。 第73号議案は、電源開発促進対策特別会計法施行令の改正に伴い、関係条文の整理を行うため、第74号議案は、看護職員等の確保を図るため、県単独の修学資金貸付制度を創設するとともに、国の要綱の改正に準じて免除規定を整備するため、それぞれ条例改正を行うものであります。 第75号議案から第77号議案までは、契約の締結についてお諮りいたしました。第78号議案は、急施を要するため、やむを得ず先決処分を行ったものについて承認を求めるものであります。 以上、各議案の概要について説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、各議案それぞれについて賛同を賜りますようお願い申し上げます。   ――――――――――――――――― ○議長(轡田勝弥君) お諮りいたします。 第56号議案から第78号議案までは、審査のため諸君のお手元に配付の議案付託表のとおり、各部門の常任委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(轡田勝弥君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔議案付託表は付録に掲載〕   ――――――――☆―――――――― △日程第3 請願第1号から第6号まで △日程第4 陳情第1号から第3号まで ○議長(轡田勝弥君) 日程第3、請願第1号から第6号まで、及び日程第4、陳情第1号から第3号までを一括して議題といたします。 お諮りいたします。 請願第1号から第6号まで、及び陳情第1号から第3号までは、審査のため諸君のお手元に配付の請願・陳情文書表のとおり、各部門の常任委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(轡田勝弥君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔請願・陳情文書表は別冊に掲載〕   ――――――――☆――――――――
    △日程第5 県政に対する一般質問 ○議長(轡田勝弥君) 日程第5、県政に対する一般質問を行います。通告順により発言を許します。 まず、渡辺勇君の発言を許します。   〔渡辺勇君登壇〕 ◆渡辺勇君 おはようございます。 一般質問も最終日となりまして、主要な論議は終えたかの感がありますが、私は県政と自然とのかかわりについて、2点に絞って質問を申し上げたいと存じます。 2月初旬、金子知事は、全国の財団法人砂防フロンティア整備推進機構の準備会長に就任され、発足後は理事長として活動される予定と新潟日報は報じております。 本県では、5万ヘクタールが地すべりに指定され、砂防指定は2,000カ所、約3万ヘクタールに及んでおります。地すべりや土石流、がけ崩れ等、災害の多い本県にとって、この種の砂防専門機関が生まれ、砂防の調査研究が進み、技術指導が促進され、自治体への助言を積極的に行うなど、大いに期待するものであります。 今から3年前、昭和63年2月県会で、私は、県内の渓流に住む絶滅寸前の天然種、ニッコウイワナの保護を訴えました。その後、保護対策については、一定の前進を見ましたが、必ずしも明るい将来は展望できません。 なぜならば、行政サイドでは、魚類は漁業の対象であって、自然保護の一環とは見ていないからであります。自然生物を人間の従属物として見るか、大自然、地球環境の中に人間と共生する生物と見るかによって、対策が天と地とも隔たるのであります。 原生林や自然林が次々に伐採され、防災の目的でダムが構築され、建設道路ができ、谷が浅くなり、生態系が変化しつつあります。治山治水対策は重要であり、自然改造を伴うことがやむを得ぬ一面であるにしても、大前提として、自然の生態系を守るということから、今自然改造には一定の歯どめが必要なのではないでしょうか。治山治水工事について、知事の基本的なお考えをお尋ねいたします。 昭和41年の7・17水害以降、どれだけの治山治水ダムがつくられたのか、担当部局の資料では、7,843カ所、投資総額は一部推定を含め、5,000億円を超えます。現在建設中のものは453カ所、1,730億円、つくったもののうち、再び災害等で破損し改修したものは148カ所、復旧投資が20億円をはるかに超えております。 この25年間、県内のダムは約8,300カ所、総投資額7,000億円の巨額に達するのであります。これらのダム工事は、日米構造協議による430兆円の関連もあり、工事建設はテンポを早めるものと思います。 そこで、第2にお聞きいたしますが、本県として今後建設を予定しているダムの数、建設費及び長期計画がありましたら、お示しをいただきたい。 全国雑誌でつり人社の「渓流」という年刊誌があります。以前にも紹介させていただきました五十嵐新三という本県人が、在来種ニッコウイワナの保護について、連載して記述しております。 この方は、30年近く全くの自然保護奉仕活動で、山の源頭630カ所に約1万尾の天然イワナを放流し、在来種を守ってきた人であります。機会がありましたならば、知事や部局長もぜひ一文をお読みいただきたいと存じます。ごくわずかな仲間の皆さんと、長年イワナの保護、放流のとうとい奉仕活動を通して、県内の山野や源流を目で確かめた体験からの叫びは、行政への警告でもあります。 私自身も、最近山林に入る機会があるたびに、国、県の治山治水対策に疑問を感ずるようになりました。何のためにダムをつくるのか。国も県も土砂災害の防止、森林等の自然環境の保全、地すべりを防止することで人命、財産を守るとしております。 ところが、よほど岩質基準を精査し、自然との調整を図るための設計や工事に意を用いないと、逆に災害を誘発するのではないでしょうか。ダムをつくれば、生態学的な影響が出ることは明らかになっております。ダムに水がたまると地震が起きやすくなること、ダムの周辺に地すべりや山崩れが発生しやすいこと、本県に地すべりが多発しているということは、地質学的な原因のほかに、人造ダムや砂防工事等による影響がないのか、調査の必要がありましょう。 また、バックウォーターといって、水流の低下による土石、土砂の堆積、下流、支流への連鎖反応、水質の汚濁や下流の水温低下など、数多くの影響が見られます。 岩盤の掘削で鉱毒が流れ出し、渓流魚が全滅するという現象が、新発田市の荒川川や東蒲の行地川、白髭山、俎倉山、カタガリ山の沢等で起こっております。 ダムや砂防工事を行うために、山を削る、谷を埋める、水路を変える、構造物をつくることで、数万年、数千年の自然サイクルが狂ってまいります。殊に河川渓流の上流は、千古おのを入れない険しいところばかりでありますから、生態系が激しく変化するわけであります。本来、自然林を育てる治山対策が必要なのに、逆なことをして、災害の発生源をつくっているのではないでしょうか。 例えば新発田市荒川川の上流砂防工事、これは平成元年度発注の県工事でありますが、急斜面を大きく削って工事用道路をつくり、土砂どめの防護を実施いたしましたが、昨年9月の降雨、10日間わずか100ミリ程度で、幅50メートル、長さ100メートルに及ぶ決壊で、もとのもくあみとなり、現在復旧作業にかかっております。 この荒川川は、昭和52年度まで標高230メートル付近までダムがつくられ、これで完了したのかと思えば、10年後になって、上流へ上流へとダムが建設されるという状況です。 また、山の景観を守ることが治山治水ダムの目的となっていますが、実態は逆であります。岩船郡朝日村高根川の名所、鈴ケ滝は、県内一の滝で、何千年も天然の砂防ダムの役割を果たしてきました。なぜそのすぐ上に、自然環境を壊す砂防ダムをつくるのか。 これと同じ例が、北蒲笹神村の魚どめの滝上のダム、これは私たち子供のときによく水浴びに行ったところでありますが、見る影もありません、東蒲上川村、身寄川の滝下のダム等に見られます。 また、土砂流出量を調査して砂防ダムをつくると言いますが、同じ花崗岩の山で、北蒲安田町付近の山は、二王子山に比べて極端にダムが多く、山の上まで構築されているのは、どうしたわけなのか。業者の利便を考えて、業者がつくりやすいところからつくるといった行政措置がなされているのではないか、数々の疑問が生ずるのであります。 自然はかけがえのない国民全体の財産であり、それは一朝にしてでき上がったものではありません。数千、数万年の年月を経ての現状であり、一度破壊すれば、もう二度ともとに戻らないのが自然であります。 砂防ダムは規模が小さく、自然環境に与える影響が少ないとか、治山ダムが自然環境に及ぼすデメリットは特にないとしてダム建設を進めた場合、無定見に対するしっぺ返しが、大自然によってもたらされるでありましょう。 そこで、私は幾つかの提案とあわせて、知事のお考えをお聞きしたいのであります。 その第1点は、砂防ダム、林道等については、沢の源頭、分水嶺でありますが、ここから最も大切な3.5キロメートル以内に原則的につくらないこと。源頭3.5キロというのは、渓流魚の最も繁殖しやすい範囲であり、いわばぎりぎりの保護区域であるとともに、下流の魚類の生産圏でもあります。 第2点は、ダム等の建設、砂防工事等については、知事の諮問機関をつくり、自然環境と建設工事との調整をしていただきたいことであります。いかがでありましょう。自然環境の影響を調査し、ダム等の構築設計の検討を行う民間有識者を含めた機関であります。 第3点に、現在源頭3.5キロ以内につくられているダムについては、その機能を点検調査するとともに、物言わぬ魚たちのために、ダムの落ち口に滝つぼを設ける改良工事、三面コンクリートのところどころに深みをつくる工事を進めていただきたい。 また、ダム上の土砂については、5年ごとに除去して、常に湖水を保つように努めていただきたいのであります。この5年という基準は、魚類の増殖進度と、源頭から3.5キロ花崗岩渓流の土砂流出量から算出した基準であります。 第4点には、昭和62年度から始まった第7次治山・治水事業五箇年計画が平成3年度で終了いたしますが、第8次5カ年計画に向けて、県としてどのような方針で政府に働きかけるのか、お伺いしたいのであります。 昭和41、2年水害から四半世紀を経た現在、災害の教訓とあわせて、砂防工事を原点から検討し直すべきであり、自然の法則と環境保護から、自然林の育成、涵養に重点を置くべきではないでしょうか。 もしもこれらの巨額の予算を要する工事が、単に公共事業の惰性的な事業費の積み上げだけであったり、万が一、特定業界のための治山治水工事であるとしたら、県費の浪費のみならず、政治倫理そのものが問われることになるのではありませんか。 平場での目に映る建設工事と違って、ほとんど人の訪れることのない山奥の見えない事業ゆえになおさらであります。大自然の中にはぐくまれている人間として、今の時代は自然の生命環境を生かすことが最も重要であるという認識からお尋ねをするゆえんであります。 次の質問は、土石、砂利採取と防災対策についてであります。 大型の機械が開発される前までは、川では砂利舟による砂利採取、陸では手掘りによる作業、石取りでは、石工がつるはしや石のみで長い時間をかけて取り出す情景が見られました。したがって、テンポも緩く、河川の川底も際立ってえぐられることもなく、山も、たちまちに形が変わることも目立ってなかったのであります。 しかし、高度成長と経済優先の波は価値観の転換となり、手職を奪い、ハイテクと電算、機械化によるシステムに取ってかわりました。砂利取り、石取りもスピードと量産が要求されることになり、山と川の形状も変化しつつあります。 産業活動が高まり、今後も公共土木、道路、橋梁、海岸、港湾等の社会資本投資が活発化することで、建設工事原材料の需要が一層ふえ、今でさえ問題視されている砂利、石材などの骨材不足に拍車がかけられます。 また、県内での採石、河川砂利、山砂利、おか砂利の採掘によって、一体どんな状態が発生をしているのか。第1点は、その実態と建設工事への影響、見通しと対策についてお聞きいたします。 第2点は、採石、砂利採取が自然や住民生活にどんな影響を与えるのか、1つの具体例を挙げて、県の方針と対応をお尋ねしたいのであります。これは、このたび県議会に提出されております請願第1号にかかわる北蒲原郡安田町地内での土石採取事業についてであります。 この地内は、1級河川ツベタ川の付近であり、昭和42年8・28羽越災害で、死者7名の犠牲者のほか、人家と山林の流失、土石流によって、前年7・17水害後につくられた治水ダムまでが倒壊し、はるか1キロ近く下まで流されるという惨たんたるありさまを現出したところであります。 五頭連峰県立自然公園のすぐ近く、ツベタ川の周辺で、現在3業者が約5.5ヘクタール、61万トン余の土石の採取を約3カ年にわたって行っているのであります。ツベタ川は砂防指定区域であり、この採石現場は、認可条件であるツベタ川の官民界から20メートル外にありますが、作業が進むにつれて発掘箇所は巨大な穴となり、深さは目測約30メートルにも達し、ツベタ川はまさに通称天井川となって、災害時の危険が憂慮されるに至りました。 現在、降雨の際は、汚濁水の流下、山砂の流出で、水田や養鯉池まで直撃しているなどの実情を、県はどう見ておられますか。やむを得ないと見るのか、改善すべきだと見るのか、お答えをいただきたいのであります。 これは一例にすぎませんが、県は土石や砂利採取の許認可に当たって、災害の防止や地形、河川、森林の環境など、どの程度しんしゃくされているのか、お伺いしたいのであります。 第3点。この地区は、ツベタ川の上流が県立自然公園に入っており、いわば自然公園の一画と考えてよいほどの場所であります。国立、国定、県立自然公園の場合、採石や砂利採取は許可または届け出が必要であり、露天掘りによる土石の採取行為は、風致景観を壊すことから認められてはおりません。 また、この地区には、有名な縄文時代のツベタ遺跡があります。ツベタという奇妙な地名は、アイヌ語のチャシ、住居趾で、後世の館に近いものとか、白土を意味するツイトがなまったものとか、また、地すべりの転訛であるとか、さまざまな説があります。 このツベタ遺跡は、安田町出身で県が誇るべき歴史地理学者、大日本地名辞書の著者であります吉田東伍博士が、今から105年前の明治19年、1886年に発見した学術的価値の高い遺跡であります。しかも、4,000年ないし5,000年前の2層にわたる縄文中期と後期のものであり、災害の跡があり、住居趾や遺物が多く発掘された貴重なものであります。 ところが、現在は土石、砂利取りの場となり、遺跡の標識すらありません。そのほか、縄文期の近くの2カ所の遺跡は、採石等によって全く壊滅し、跡形もなくなったのであります。こうした自然公園の周辺や文化財遺跡が、採石や砂利採取の許認可の際にどれだけ配慮されているのか。 穴だらけになって植林すら満足でなく、松くい虫がはびこり、酸性雨に脅かされているふるさとの山を見るとき、私は憤りを覚えるのであります。県のお考えをお述べいただきたいのであります。 第4点は、許認可後の指導監督がどのように行われているかということであります。 認可の基準は、砂利採取の場合、他人に危害を及ぼし、公共の用に供する施設を損傷し、または、他の産業の利益を損じ、公共の福祉に反してならないと規定され、採石法でも同様の趣旨にのっとっております。 また、砂利の採取量は、砂利の賦存量、設備能力、自然条件、採取方法、特に災害防止上、過大なものにならないように決められ、採取期間は、変化を予測し得る範囲内として、1年以内が望ましいとしているのであります。 これらの認可要件が認可後も満たされているのか。現地の調査や指導が県によって十分行われているのか。採石、砂利採取についての指導実態について、また、認可後の取り消しや改善命令を発した例があれば、御報告をいただきたいのであります。 第5点。ただいま具体例として挙げました安田町地内の掘削現場の跡地に、最近、風評として、産業廃棄物が持ち込まれるとのことであります。 現在でも、掘削地盤層から地下水がわいておりますが、産業廃棄物の埋め立てによって、いつ災害が発生するかもしれず、地域住民の大きな不安となっております。もしも産業廃棄物の処分場として申請があった場合、許可されるかどうか、明確な県の方針をお聞きしたいのであります。 以上、私は主に治山治水と自然との連環を申し上げてまいりましたが、山川にすむ小さな1匹のイワナや砂利1かきから、自然と人の摂理を知ることができるのであります。人間は到底山を治め、水を治め、自然を征服することなどできません。大それたことであります。山を敬い、川を敬い、自然の生物と共生することが、人間尊重、ヒューマニズムの原点であります。 山と川に恵まれた我が新潟県が、経済活動を促進する一面、自然をどう生かし、守り育てることができるかが、知事と県議会の大きな命題であることを強調して、私の質問を終わるものであります。(拍手)   〔知事金子清君登壇〕 ◎知事(金子清君) 最初に、治山治水工事の基本的な考え方でございますが、新潟県の山地流域は、御案内のとおり地形が急峻で、かつ、地質が脆弱であることに加えまして、豪雪地帯という地域の特性がございます。こういうことに伴いまして、これまでにも地すべりとか土石流、あるいは洪水などの災害によりまして、とうとい人命、財産が失われるという多くの被害を受けてきたところでございます。 また、近年では、河川流域の開発が進みまして、人口、資産の集中化に伴い、治山治水の安全度の向上が強く求められているというふうに考えております。 このため、県土の保全と人命、財産を守るため、治山治水施設の整備を今後とも図っていかなければならないというふうに考えておりますけれども、この治山治水の事業を進める上におきましては、地元の意見を十分伺いながら、自然環境の保全、調和を配慮した事業を促進していく必要があるというふうに考えております。 次に、治山治水ダムの長期計画についてでございますが、国の5カ年計画を基本といたしまして、県では、平成7年度を目標といたします新・新潟県長期構想を策定いたしております。 この中で、砂防事業では822渓流、治山事業では山地災害危険地区の危険度の高い地区、治水関連ダムでは現在調査中の3ダムにつきまして、それぞれ整備促進を図ることといたしております。今後この長期構想の目標達成に向けて、努力をしてまいりたいと思っております。 次に、砂防ダム等の建設位置についてでございますが、源頭部の崩壊等を放置いたしますことは、さらに荒廃が進みまして、下流の人家、人命に多大な被害を生じさせますとともに、自然環境、生態系に与える影響も極めて大きいものがあるというふうに考えております。 したがいまして、砂防ダム等の施工に当たりましては、源頭部などの崩壊を防止するために最も効果的な位置に選定をいたしておるところでございます。 また、林道につきましては、合理的な林業経営と森林の適正管理のために欠かすことのできない施設でございまして、山村振興の点からも重要な役割を果たしておると思っております。今後とも、これらの工事に当たりましては、土砂が流出しないように万全を期しまして、自然環境の保全に十分留意してまいります。 次に、ダム等の建設、砂防工事などについてでございますが、自然環境への影響に十分配慮いたしますことは当然のことでございますが、事業を適切に実施するため、必要に応じまして、国や財団法人ダム水源地環境整備センターなど、関係機関の指導助言を得ておるところでございます。今後ともこれら機関を有効に活用して、事業の適正な執行に努めてまいります。 次に、第8次治山・治水事業五箇年計画についてでございますが、本県は、自然的特性から、山地災害危険地区や土石流危険渓流を多く抱えております。その整備水準も低く、豪雨などの際には大きな災害も予想される状況にございます。また、近年の社会情勢から、森林の持つ機能の充実強化が期待をされております。 これからの現況を踏まえまして、第8次治山・治水事業五箇年計画の策定に際しましては、山地災害危険地区、土石流危険渓流などの対策と、水源地域の森林整備や生活環境林の整備を柱といたしまして、事業の拡充強化について、国に働きかけてまいりたいと思っております。 また、これらの事業によりまして、山地災害を未然に防止し、森林の維持造成を図りますとともに、安全で潤いある生活環境を形成していきますことは、御指摘の自然林の育成、涵養につながるものというふうに考えております。 次に、県内の骨材状況でございますが、生産量、出荷量とも、昭和53年をピークとして、その後昭和59年度まで徐々に減少をしてまいりました。そして、ここ数年は横ばいの傾向にございまして、需給関係は安定しているものというふうに考えております。 しかしながら、今後社会資本投資の拡大に伴いまして、骨材需要の増加が予想され、資源の再利用を含めた骨材資源確保対策につきまして、関係業界とともに検討を進めてまいりたいと思っております。 次に、砂利、岩石の採取の許認可に当たっての災害防止や環境保全への対応についてでございますが、砂利、岩石などの骨材は、社会資本整備を進める上で必要な基礎資材でございます。 これの確保に当たりましては、災害防止や環境との調和を図って進める必要がありますことは、当然でございます。県といたしましては、関係法令の許認可におきましては、森林法、文化財保護法、砂防法など、それぞれの法令に照らして適切に対処しておるところでございます。 また、採取完了後の確認につきましては、許認可条件に沿った採取がなされたことを確認し、必要がある場合には、芝の吹きつけ、植栽等の緑化や、のり面修正、排水処理などの是正の指導をしておるところでございます。 次に、安田町地内の採掘跡地への産業廃棄物の搬入問題でございますが、最終処分場の設置届け出がされた場合には、構造上の安全性について、現地の状況などを踏まえて技術審査を厳正に行いますとともに、地元安田町及び地域住民の意向を尊重いたしまして、適切に対処してまいります。   〔土木部長會田正君登壇〕 ◎土木部長(會田正君) 河川の上流部における砂防治水治山ダムについてでありますが、これらのダムは、土砂を堆積させることにより、渓床、渓岸の浸食防止を図るものでございまして、堤高も低く、自然形態に近い滝つぼが形成され、生態系に与える影響は少ないものと考えられます。 また、ダムに堆積をしております土砂の除去につきましては、渓床、渓岸の浸食及び山腹崩壊を誘発いたしまして、下流に災害を発生させ、ひいては、自然環境に悪影響を及ぼすおそれがあるというふうに考えております。 次に、安田町のツベタ川付近の岩石採取地についてでございますが、本地域は、以前から御影石の産地として採取が続けられておりまして、長年にわたる採取のため地形が変わったことによりまして、地元の方々が災害の発生を危惧されていることは、承知をいたしております。 現在、現地調査を行っておりまして、今後の対応につきましては、町当局とも十分協議の上、検討をしてまいりたいと考えております。 また、降雨時における水田や養鯉池への影響につきましては、調査の上、必要があれば改善を図るよう指導してまいりたいと考えております。 次に、風致景観への配慮についてでございますが、砂利、岩石の採取に当たりましては、主として、災害防止の観点から審査をいたしまして、許認可に当たっては、必要に応じ、植栽による緑化を指導し、風致景観の確保についても配慮を行っているところでございます。 次に、許認可後の指導についてでございますが、砂利、岩石採取場については、許認可の要件、基準を満たされているかどうか、年1回以上の立入検査を行っておりますほか、パトロール等も実施しているところでございます。 また、最近5年間では、許認可を取り消した例はございませんが、採取方法の是正や採取停止などの措置を命じたものが18件ございます。   〔教育長堀川徹夫君登壇〕 ◎教育長(堀川徹夫君) 文化財遺跡における採石や砂利採取についてでありますが、採石、砂利採取など、開発計画が周知の遺跡において行われる場合、事業者は事前に県教育委員会に所定の届け出を提出することとなっております。 県教育委員会では、この届け出に基づきまして事業者と協議をし、事前の発掘調査、立会調査、または慎重工事など、遺跡の取り扱いについて指導を行い、埋蔵文化財の保護と開発との調整を図っているところであります。 また、ツベタ遺跡でありますが、民間企業によりまして、昭和52年、55年に、文化財保護法による届け出の手続を踏まず、開発行為が行われ、遺跡の大半が破壊されました。そのため、遺跡の残部について、安田町文化財保護審議会の答申を得て、昭和57年度、58年度に記録保存を前提とした調査が、安田町教育委員会によって実施されたものであります。 現在、御指摘のとおり、その大部分は既に失われておりますが、今後はこのようなことが生じないように、周辺の開発につきまして、関係機関と連携をとりながら慎重に指導しているところでございます。 以上でございます。   〔渡辺勇君登壇〕 ◆渡辺勇君 再質問をお願いしたいと思います。 ただいまの御答弁を聞いておりますと、どうも本質的なものを避けて、ちょうど職員の皆さんがつくった答弁書をそのまま読み上げているという感じを私は持ちます。 そこで、さらにちょっとお尋ねをしたいと思いますが、第1点は、これからのダム関係での、これは非常に大きな事業でありますから、そういうものの長期計画は県にはないのではないか。先ほどの御答弁を聞いてそう思いました。その点について、ひとつあれば具体的にお示しをいただきたいし、なければない。あるいは、国の第8次5カ年計画が出てから決めますなら決めます、はっきりした御返答をいただきたい。 第2点に、知事からいろいろ御答弁がありましたが、自然の生態系と防災、こういうものを併合しながら調整していく。それには、いろいろな機関の意見を聞いて進めたいという御答弁がありました。 なるほど採石法から砂利の採取法とか、いろいろな個別法はございますけれども、今新潟県として一番必要なのは、知事の諮問機関であれば私は一番いいと思うんですが、そういう中でのいろいろな専門家、例えば農地部、農林水産部、土木部、教育委員会、あるいは環境保健部、全体にまたがっているわけですから、どう自然と防災とを総合的にうまく調整して持っていくことができるか、そういう機関は今どうしても必要ではないかと思うんですが、この点について、さらに知事のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。 最後に、安田町の、一度ごらんいただきたいと思いますが、深さが30メートルぐらいありまして、災害の起きました1級河川のツベタ川が天井川になって、幅はそう大きくはありませんけれども、30メートルぐらい落差があるわけです。 なるほど砂防区域に指定をされておりますが、砂防区域の指定というのは、官民界20メートル離せばいいわけです。私は20メートルでは足りない。この議場の幅が大体25メートルですから、この程度しか離れていない。 そこには遺跡もある、自然公園もある、あるいは、いろいろな保安林も近い、そういうさまざまな土地状況の場合は、それなりの対策、許認可、そういうものの指導をなすべきではないかと思うんです。 そこへもってきて、産業廃棄物を持ってくるということは、さっき知事は、構造物を検討してからというようなお話がありましたが、これはもうそんなような状態ではないわけです。大体許可をするときの許可条件は、終わりましたら、のりについては緑化をしなさいよという指示がちゃんとされているわけですから、それは今さら構造物云々なんていうものでなくて、いかにその穴を埋めて、いかに自然を保つか、防災に配慮をするか、これだと思います。 この3点について、もう一度お聞かせをいただきたい。   〔知事金子清君登壇〕 ◎知事(金子清君) 治山治水ダムの問題でございますが、先ほども申し上げましたように、私は、治山治水ダムをつくるということは、生命、財産を守るためにつくるということでございまして、その必要性は、県及び地元市町村と十分協議しながら、どこにつくるべきかということを判断していかなければならないというふうに思っております。 また、このダムをつくるに当たりましては、先ほども申し上げましたように、自然の生態系にある程度の人工が加わることは当然でございますけれども、過度に自然環境を破壊しないように、どういう形で工事を進め、どういうところにそういうダムをつくっていくかということを検討して、私はこれまでもダムができておると思いますけれども、もし御指摘のようなことがあるとするならば、私も十分実情を把握して、どう対応したらいいか検討はさせていただきたいというふうに思っております。 それから、安田町の産業廃棄物の問題でございますが、私、まだ現地を見ておりませんのでよくわかりませんが、ただ、出るか出ないかわかりませんが、届け出が出た場合には、やはり届け出に基づいて、先ほど申しましたように、構造上の安全性がどうだとか、あるいは、地元の御意見がどうかということをお聞きしなければ、県としてこれがいいか悪いかという判断ができないので、そういう問題を十分考慮して判断をしたいということでございまして、これが最終処分場として最終的になるかならないかということは、これからの問題であるというふうに私は思っております。   〔土木部長會田正君登壇〕 ◎土木部長(會田正君) 治山治水ダムの長期計画について御質問でございましたけれども、新潟県といたしましては、先ほど知事の答弁がございましたように、平成7年度を目標といたします新・新潟県長期構想の中で、治山治水ダムの長期計画を立てている、こういうことになっておりまして、その数は、先ほど説明がありましたように、砂防事業では822渓流、治山事業では山地災害危険地区の危険度の高い地区、それから、治水関連ダムでは現在調査中の3ダムを、長期構想の目標として整備することになっております。   〔渡辺勇君登壇〕 ◆渡辺勇君 私の聞き方も悪かったかもしれませんけれども、さっき1つ落ちておりましたので、お聞かせをいただきたいのは、いろいろな調合を図るための機関、これは今は特別つくる必要はないという知事のお考えなんですね。それは、それぞれのいろいろな機関があるから、その意見を聴取してやる。私は、もうそれでは遅い。総合的な面での調整を図ることが今一番必要なのではないか。 そのための一つとして、環境評価要綱が実施されますが、この中にも、実はダムの関係、私が先ほど申し上げた治山治水ダム関係、これはほとんど入らないですね。淡水面積が200ヘクタール以上の1級河川ダム、及び土地改変面積100ヘクタール以上の放水路の新設ですから、これは入らないです。 そうすると、個別法はありますが、今一番必要なのは、各部局のそういう連携、あるいは、学識経験者による新潟県全体として、さっき知事がおっしゃったように、これから自然と経済活動の整合をどう図っていくか、こういうものの機関はやはり必要なのではないか。これが1つ。 もう一つは、これは本当は農林水産部長か環境保健部長になるのでしょうけれども、さっき私、質問の中で源頭3.5キロと触れました。これは渓流魚の繁殖をするぎりぎりの世界なんです。それを過ぎますと、なかなか難しい。 それがまた、下流の魚たちがこれから増殖をするための一つの大切な限界になるわけですから、先ほどはそれに全く触れていらっしゃらないようですが、それについては検討されるのかどうか、あるいは、そういうことはもう耳をかさないというのか、この2つの点をお願いしたい。   〔知事金子清君登壇〕 ◎知事(金子清君) 最初の点でございますけれども、先ほどお答えいたしましたように、私自身も、実情をもう少しよく調べさせていただいて、その上に立って、もし必要があれば、そういう組織的なものも考えていきたいと思います。現在でも、関係部局の調整はやってきておると思いますけれども、実態のダムの建設に当たって、現在どういう問題点があるかということも十分検討させていただいた上で、判断をさせていただきたいというふうに思っております。 それから、源頭から3.5キロの間、一切手をつけないということは、私は先ほども担当者にもいろいろ話を聞いたわけですけれども、砂防ダムを建設する場合にも、やはり上流部につくらなきゃならない場合も、現実の問題として起こり得ることでございますし、また、林道を開設する場合にも、峰越え林道という場合もないことではないようでございますし、それぞれの目的に沿った必要性があるわけでございますので、その辺と自然との調和をどうやって図っていくかということではないかというふうに思っております。   〔農林水産部長近藤琢也君登壇〕 ◎農林水産部長(近藤琢也君) 今ほどの後段の御質問について、若干補足をさせていただきます。 基本的には今知事からお答えしたとおりでございますが、ただ、私たちといたしましては、例えば渓流魚の繁殖地など重要な地域については、関係機関とも連絡を密にし、それなりの対応を考えているところでございます。 今までの例といたしましては、これは数は少のうございますけれども、地域の関係者との協議によりまして、魚道を設置するとかいう例もございます。したがいまして、今後とも関係機関と連絡を密にしながら、でき得る限りの対応はいたしてまいりたいと考えております。 ○議長(轡田勝弥君) 渡辺勇君の質問は終わりました。 次に、斎藤勲君の発言を許します。   〔斎藤勲君登壇〕 ◆斎藤勲君 遅れてまいりました私が、昨年2月定例会から本議会に参加させていただきまして、満1年に相なりました。毎定例会ごとに一般質問の機会をお与えいただき、感謝を申し上げる次第であります。とりわけ5回目の今回は、今期最後を締めくくる一般質問であり、感慨ひとしおなものがあります。 まず初めに、本県の活力や県勢の盛衰を左右する重大な課題である県民人口問題について、三たびお尋ねいたします。 昨年は1.57ショックが日本列島を駆けめぐりました。平成2年国勢調査の都道府県別人口を昭和60年と比べると、18道府県で人口が減少しており、その多くは北海道、東北、中国、四国、九州に集中しており、本県もその一県であり、日本海側の雄県を自負する本県にとって、まことに残念な結果となったわけであります。 しかるに、ライバルの近県においてはふえている状況にあり、宮城県が3.3%、福島県が1.1%、群馬県が2.3%、富山県が0.2%、石川県が1.1%、福井県が0.7%、長野県が0.9%と、それぞれ増加しているのであります。 本県の人口減の要因は、自然増が社会減をカバーし切れなくなったことによるものであります。今申し上げた人口増加県では、宮城県と群馬県のみが自然動態、社会動態、いずれも増加を示しておりますが、その他の県においては、社会減を自然増がカバーした結果、人口増を示したのであります。 翻って、過去30年間の本県の社会動態減少率は、毎回調査ごとに着実に縮小してきたのでありますが、前回調査を契機に再び拡大に転じ、今回調査では前回をさらに上回った拡大傾向を示すに至ったのであります。 一方、人口増加県における社会動態減少率は、いずれも本県の減少率を大きく下回っております。私は、さきの議会で、社会減をいかに食いとめるかが緊急の課題であると指摘いたしましたが、すなわち今回の自然動態増加率が1.7%でありますので、他県並みに社会動態減少率を抑制できたならば、人口増加に結びついたのであります。 本県は、企業の誘致活動、農山村地域の振興策、新卒者の地元就職対策、Uターン就職対策など、他県に劣らず積極的に実施しているところでありますが、社会動態減少率が拡大した現状をどうお考えでありましょうか。 また、福島、富山、石川、福井、長野の各県に当該率でおくれをとった理由は那辺にあると考えておられるのでありましょうか、あわせてお伺いいたします。 次に、将来推計人口についてでありますが、県の長期構想においては、地方定住圏構想促進対策の推進や産業経済の活性化を図ることにより、人口は緩やかではあるが増加を続け、平成7年には260万人程度になるものと見込まれると予測しておりますが、既に現実との乖離は大きいものがあると指摘せざるを得ません。 一方、厚生省人口問題研究所の昭和62年1月推計において、昭和55年から60年の純移動率を一定にした場合の本県の将来人口は漸次減少を続け、平成37年には218万2,000人と、現在より実に30万人近くも減少する数値を示しているのであります。 ついては、今回調査結果を踏まえた現時点において、本県の将来人口をどのように考えておられるのでありましょうか。 いずれにいたしましても、合計特殊出生率が漸減傾向を示し、社会動態減少率が拡大した今日、他県にも増して強力な行政施策の推進による対応が必要と考える次第であります。 第2に、新年度予算に係る財政問題についてお尋ねいたします。 本県の平成3年度予算は、その規模において1兆円を突破したことにより、まさに記念すべき節目を迎え、県民ひとしく県政への期待は一層大きいものがあると考える次第であります。 1、県税についてでありますが、地方財政計画の伸び率6.5%を上回る7.5%の伸び率で、2,450億円が計上されております。今年度の決算見込み数値は承知しておりませんが、近年、長期にわたる景気上昇に支えられ、県税、地方交付税等の伸びが順調であったところであります。 政府の3年度の経済見通しでは、国民総生産の伸び率を名目5.5%、実質3.8%と予測しております。しかし、今後の経済動向は、湾岸戦争による石油価格上昇、金利上昇、株価下落等の環境変化の中でどのように推移していくのか、その影響は定かではありません。このような不透明な状況のもと、どのような経済見通しにより税収を見積もられたのか、基本的考えをお聞かせ願います。 2、次に、地方公共団体の自主性、財政の弾力性を示す一般財源比率についてでありますが、地方財政計画では69.5%で、過去最高値が示されております。本県の同比率は、毎年度着実に上昇しているものの、3年度の56.2%は、依然地方財政計画の数値を大きく下回っております。 一方、特定公共事業債を除く地方債依存度についてでありますが、地方財政計画では2年度の7.1%を上回った改善で6.7%が示されております。本県はさらにそれを上回った改善で5.4%で編成されており、県民にとって歓迎すべき数値であると思うのであります。 いずれにしても、本県の歳入構造を全国水準と比較した場合、どのような認識を持っておられるのかお伺いいたします。 3、県単独事業費についてお尋ねいたします。 地方財政計画においても、投資的経費のうち、地方単独事業費は前年度比10%と大幅な伸びが示され、交付税措置の手厚い地域総合整備事業債の増額等を図るとともに、昭和49年度以来、土地開発基金5,000億円増額の交付税措置が図られたところであります。 知事は、県単独事業費について、地方財政計画を大きく上回る16.1%増の積極的予算を組まれたところでありますが、どのような視点から、どのような事業に力を注がれ、さらには土地基金をどのように活用されるのか、その基本的方針をお伺いいたします。 第3に、環日本海交流圏構想についてお尋ねいたします。 16年前、就任間もないころの君知事に、日本海時代の幕あけだから、対岸諸国と積極的な自治体外交を展開すべしと申し上げたところ、外交は国がやるものだとの答弁でありました。まさに今日とは隔世の感があるのであります。 知事は、本議会冒頭において、平成3年度には21世紀へ向けての本県の新しい統一イメージとして、新日本海フロント・新潟県を国の内外に売り出すことを表明され、さらに環日本海交流圏フォーラムの継続開催、環日本海圏諸国との経済交流等に貢献する調査研究を行うシンクタンク設立の基本計画策定、日本海賞の制定など、環日本海交流圏構想の具体化を進め、発展させる施策を打ち出されております。 知事のこの方針に対して私は賛意を示し、支持をいたすところでありますが、私なりの意見を二、三申し述べて、知事の御所見を承りたいと存じます。 1、まず、シンクタンク設立構想についてでありますが、今や第3次シンクタンクブームと言われております。すなわち、第1次はシンクタンク元年と称された70年、第2次は銀行系シンクタンクの設立ラッシュとなった80年代半ば、そして今回は大型化であります。 北海道では、道の新長期総合計画策定に係る調査のシンクタンクへの発注をめぐり汚職事件が発覚しましたが、それは論外としても、シンクタンクからの報告書の欠陥が道議会において議論がなされたとのことであります。 少し横道にそれてしまいましたが、営利目的の株式会社シンクタンクは、その50%は官庁からの受注であり、行政の補助的データ収集が多く、しかも、経済以外の分野がウイークポイントで、かつ政策提言になじみにくいとされておるところであります。 本県においても行政施策に係る各種調査を民間シンクタンクに委託する事例が多く見受けられますが、民間シンクタンクを過信する傾向はいかがなものでありましょう。 私は、営利や顧客との契約関係に拘束されることなく、政策を中心に研究活動を行う半官半民の公益法人のシンクタンクが必要であり、今求められているものと考える次第であります。 知事は、環日本海圏の形成は、新潟が日本海に開かれたゲートウエーとして飛躍する将来性を秘めている。そのため、環日本海圏のことなら、新潟に聞けば何でもわかると言われるような全国一レベルのシンクタンクをつくるとのことであります。 そこで新潟県のNIRA、総合研究開発機構と称されるくらいなものを設立してほしいとする願いから、お尋ねいたします。 1、シンクタンク設立の具体的スケジュールはいかがでありましょうか。 2、法人格はどのようなものを想定されておられるのでしょうか。仮に財団法人とするのなら、基本財産への県出捐は当然のことと考えますが、その他にどのような企業、団体から出捐を求めるのでありましょうか。 3、研究員等の人的構成は、どのようなものを想定されておられるのでしょうか。特に企業、団体からの派遣協力を求める場合、どのような企業、団体からが好ましいと考えているのでありましょうか。 4、さらに、研究活動の目的、対象などは、具体的にどのようなものを考えておられるのでしょうか。 次に、環日本海交流拠点の核となる空港の整備についてであります。 グアムショックに沈んだ昨年2月の出来事が記憶に新しいところでありますが、仙台空港との競争の敗因として、市場規模の差、すなわち仙台は東北全体の圏域人口970万人の需要が見込めるのに対し、新潟はせいぜい庄内、酒田、会津若松ぐらいの圏域需要との差が大きく影響したとされているのであります。 仙台空港は、昨年4月の韓国、アジア航空の乗り入れで初めて国際便を実現したわけでありますが、早くから東北の拠点空港としての取り組みがなされていたところであります。具体的に申すなら、1、四全総の策定に向けて、東北経済連が打ち上げた第2国土軸構想、2、東北開発促進計画における重点施策としての仙台空港国際化、3、本県も参画しているインテリジェントコスモス構想、いずれも仙台空港を対外的にアピールするものであり、さらには、3,000メートルへの滑走路延長を視野に入れた用地取得を完了するとともに、エアカーゴ基地設置の検討会も開かれているとのことであり、まさに東北の盟主としての地歩を着々と歩み、固めつつあるものと思料されるところであります。 一方、本県の実情は、現在2,500メートルへの滑走路延長事業が具体的に進められているのでありますが、環日本海の拠点を目指す本県にとって、3,000メートル滑走路は不可欠な条件整備と考えるところであります。 このことについて、本議会においても再三議論のあったところではありますが、いかんせん現空港は西港と阿賀野川に挟まれ、とりわけ西港との関係において物理的限界が存在し、3,000メートル滑走路の実現は困難な状況にあることは申すまでもありません。 私は、現空港が全国的にもまれな都心部に近接して立地する優位性は認める一方、西港もまた、町の中心部に大型船舶が入港する有利な条件を備えているものと考えるところであります。ましてや西港は、日米和親条約に基づき開港された5大港の一つとして、その歴史は重く、たび重なる不運にもめげず再興され、今日に至るまで確たる地位を築いてまいったことからも、県民の西港への愛着はひとしおなものがあるものと推察するところであります。いわんや、西港機能すべてを東港へ移転することは、現実的にも不可能であります。 そこで、さらに一歩議論を進め、同空港を補助空港と位置づけ、新たな場所に3,000メートル滑走路を有する新空港を整備したらいかがでありましょうか。空港整備法で規定する二種空港のうち、千歳、熊本、長崎、大分、鹿児島は、既に3,000メートル滑走路を有しているところであります。 新空港構想については、かつて国のアドバイスに基づき、県も調査検討した経緯があることを私も承知しておりますが、今や地域間競争激化の折、環日本海交流圏構想の推進と相まって、対岸交流拠点の核となる3,000メートル空港の整備を再検討する時期かと存じます。 次に、語学研修センターの新設整備について提案し、所見をお伺いいたします。 私は、さきに開催された環日本海交流圏フォーラムを拝聴したところでありますが、フォーラムの基調講演において、ソ連科学アカデミーのイワノフ氏は、日本海圏大学の設立と語学力強化の必要性を訴えられました。特に語学力強化についてでありますが、イワノフ氏は、環日本海諸国には多くの言語が存在することから、今後相互交流をさらに深めるには、1人最低2カ国語を話す人材を数多く養成しなければならないとのことであり、私も考えを同じくするものであります。 語学研修センターの設立は、対岸諸国の日本語講師等の養成強化を図ることにより、日本語を話せる底辺が拡大するものであります。一方、日本人向けには、対岸諸国の主な言語を習得させる機関として、あるいは生涯学習の一環として、語学や対岸諸国事情研修の場としての活用が可能であります。 こうしたことから、県主導の語学研修センターを他県に先駆け設立すべきと考えるものであり、これこそまさに本県のリーダーシップを発揮する手段の一つであると確信いたしますが、いかがでありましょうか。 第4に、教育問題についてお尋ねいたします。 まず、高等学校不適応や中途退学問題についてであります。 3月は別れと巣立ちの季節であります。私はこのところ、若人の門出を祝福するため、可能な限り卒業式には出席しております。一昨日は村上女子高等学校第22回卒業式に参列したのであります。「青春と友情に燃え われらここに われら ここに」、尾瀬沼の「夏の思い出」で有名な江間章子さん作詞で、これまた著名な中田喜直氏作曲の校歌が、寒々とした体育館で幾百人の女声合唱の物悲しい歌声が静かに響きわたりました。 一人一人に手渡される卒業証書授与の様子を見ながら、この乙女子らのどれだけが、今夢見ている人生の花を満開に咲かすことができるのだろうか。意に沿わない人生を余儀なくされる人々も多いであろうにと、私は心ひそかに彼女らの行く末を案じ、その前途の幸せ多からんことを願わずにはいられなかったのであります。 同時にまた、この晴れの日に卒業証書を手にすることのできなかった生徒らが、どんなに悩み、苦しみ、胸を痛めているかも思わずにいられなかったのであります。1匹の迷える羊を救うために、99匹の羊を置いてもそれを探す。そうした温かい思いやりの心が教育には欠かせないと、しみじみ考えるのであります。 不適応や中途退学の原因はいろいろありましょうが、第一義的な問題として、進学者側にありましては、本人の適性や学力の無判断、あるいは現代社会の職業的価値観の多様化から、本人も親も、将来の人生設計などを熟慮することなく、いわゆるモラトリアム的傾向の増大から、ただ全日制普通科をとりあえず志向する風潮が見られることや、中学担任の進学指導により、学力の関係から心ならずも職業課程へ進学した者など、いずれも明確な目的意識もなく、何とはなしに進路を決定した者が多く存在し、その結果、学校不適応者や中途退学者が多く発生するものと考えられる次第であります。 一方、受け入れ側の高等学校についてでありますが、何百人という生徒を預かり、生徒の個性、能力、特色などを発見し、これを伸ばし、方向づけを与えることは容易でないことは理解できますが、画一的な教育指導方法により、教師と生徒との信頼関係が希薄になってきているのも事実と考えるのであります。 いずれにしても今日的問題の高等学校不適応者や中途退学者、あるいは大学入学資格検定試験受験者の増大は、現代教育への痛烈な批判であると思うのであります。 ついては、高等学校不適応者や中途退学者問題について、高等学校側に起因する問題をどのように分析し、考えておられるのでありましょうか、お伺いいたします。 また、新たに高等学校不適応等対策を実施するとのことでありますが、具体的にどのような対策を講ずる所存なのか、お聞かせ願います。 さきに高橋議員が触れられたとおり、私も単位制高等学校の必要性を痛感するところでありますが、それとは別に、例えば高等学校進学時には自分の適性や将来の目的を自覚しなかった者が、在学途中でみずからの適性を自覚したことにより、学科の変更、あるいは他校への転校を希望した場合、どの程度弾力的に対応する制度が存在するのでありましょうか。 また、向学心ある中卒社会人は、年齢のいかんを問わず、極力高校に受け入れるように配慮する必要があり、そのため入試の方法なども弾力的に対処すべきと考えますが、いかがでありましょうか。 次に、生涯学習についてであります。 昔から、五十の手習いや、学ぶに遅い年齢はないといった言葉はありましたが、従来から教育といえば伝統的に主として学校教育を意味しておりました。今や21世紀の長寿社会を目前に控え、これからの教育は生涯学習という視点から見直し、組み立てられなければならないと考えられるに至ったところであります。 考えてみれば、学校教育というのは、人生80年時代のたかだか4分の1余りでしかありません。人生これすべて師であり、人は生涯を通じて学ぶものであります。そして、その結果また、人の一生はひつぎを覆うて定まるものでもあります。 昭和62年8月に最終答申の行われた臨時教育審議会においても、一貫して生涯学習体制の整備の重要性がうたわれているところであり、文部省は昭和63年7月より、従来の社会教育局を生涯学習局として、筆頭局に改組しているところでもあります。もちろん、国における生涯学習に対する取り組みは、文部省のみならず、労働省、建設省、厚生省など広範にわたるところであります。 都道府県レベルでの生涯学習の取り組みは、秋田県において昭和45年2月、庁内関係11課によるプロジェクトチームの編成により、生涯学習の進め方の研究を行ったときから始められ、昭和46年度策定の秋田県生涯教育推進要綱で定められた基本的方向に基づき、全国に先駆けて、全県的な具体的運動が開始されたところであります。 おくればせながら本県においても、新年度から社会教育課を生涯学習推進課に衣がえすることから、庁内窓口の組織体制が明確化されたところであります。 私はかねてより、文部省所管以外は教育でないとする教育行政のかたくなな姿勢に疑問を覚えていることから、生涯学習推進課は、教育委員会よりもむしろ知事部局の総務部ないしは企画調整部にこそ設置されるべきものと考えるところでありますが、いずれにしても生涯学習の諸施策を推進するには、教育委員会のみならず、商工労働部、民生部など、複数部局の有機的な連携が必要でもあります。 ついては、生涯学習の諸施策を推進するに当たり、知事部局をも含めた全庁的推進体制の整備をどのように図り、広く総合行政の中でどのような諸施策を展開して県民の学習意欲を高める所存なのか、その基本的方針をお聞かせ願います。 教育問題の最後に、今ほど申し上げた生涯学習に関連して、県教育委員会の表彰制度についてお伺いいたします。 県教育委員会表彰規則によりますと、その目的として、第1条では、「新潟県の教育、学術及び文化に関し功績の著しい者又は特に推奨すべき者があるときは、この規則に定めるところにより新潟県教育委員会がこれを表彰する。」と規定されており、第2条において表彰の対象者が具体的に示されております。 しかしながら、第2条各号における表彰の対象者として、生涯学習功労者が規定されておりません。強いて挙げるなら、第6号に規定の社会教育の功労者が該当するものと考えられますが、いかがでありましょうか。また、その場合、どのような人が、どのような功績により認められるのでありましょうか。 今後ますます生涯学習への取り組みは、その重要性を増してくるものと思いますが、教育委員会所管の生涯学習功労者のみならず、商工労働部や民生部なども含めた総合的な生涯学習功労者を表彰の対象とするよう、明文規定を設けるべきと考えますが、いかがでありましょうか。 第5に、県北の振興について所見をお伺いいたします。 さきに申し上げたとおり、環日本海交流圏構想の推進に当たり、本県はその中心的な役割を担い、今やまさに知事をリーダーに、全県一丸となってその目的に向かい滑走を始めたところであります。この滑走期間において、日本海側の拠点性を高めるための基盤整備が重要な課題であり、その解決が次なる離陸へのステップにもなるものと考えるところであります。 基盤整備の第1に、高速道路網の拡充整備についてでありますが、関越自動車道、北陸自動車道の整備により、本県は全国一の高速道路延長を有しているところであります。しかしながら、いずれも新潟市が終点であり、高速交通体系に必要なネットワークが未完成のため、その機能は十分に発揮されていないのが現状であります。 幸い、県南では関越自動車道上越線が、さらに県東部では東北横断自動車道いわき新潟線の整備がそれぞれ進められ、近い時期、そのネットワークの一部が備わる見通しであります。 一方、目を北に転じれば、日本海沿岸東北自動車道は村上までが基本計画路線として決定がなされておりますが、その先の鶴岡までの間が予定路線のままの状況に置かれております。県北地域の発展はもとより、それ以上に本県全体のさらなる拠点性を高める手段として、東北地域との結節は密接不可分な条件と思う次第であります。 隣の山形県では、酒田―仙台を結ぶ東北横断自動車道酒田線の整備が進められ、仙台へのきずなが一層強められております。私は、この酒田線と日本海沿岸自動車道の接続を早期に実現し、東北地方とのネットワーク化を強化することこそ、滑走期間における解決すべき課題であると考えるのでありますが、その所見をお伺いいたします。 ちなみに、今秋いよいよ庄内空港が開港し、大阪への路線認可もおりたとのことであり、これまで新潟経済圏の一部でもあった山形県庄内地方が、本県の影響下から離れていく傾向にあることを付言いたします。 基盤整備の第2は、港湾の整備についてであります。 本県は日本海沿岸のほぼ中央に位置し、対岸諸国との交流拠点として、その中心的役割を担う地理的好条件に恵まれているところであります。県内港湾はいずれもそれぞれの地域において、それぞれの機能と役割を有しており、陸上輸送網の整備と相まって整備が進められてこそ、その機能が高められ、発揮されるものであります。 本県の港湾は、新潟港を初めとして、直江津港、柏崎港など、いずれも北西に港口が向いているところでありますが、唯一岩船港のみが南西に港口を向けておるところであります。したがって、日本海に多い西風によるしけの影響をもろに受け、入港船舶も東港などへ避難する場合もあり、その安全対策が望まれている現状にあります。 港の規模は、自動車に例えるなら軽自動車クラスとはいえ、せめて中規模クラスの抜本的な機能が備わったものが必要と考えるところであります。 岩船港は、県北振興の拠点港として、あるいは東港機能の補完港として、その期待される役割はこれから大きなものがあると考えますが、3年度からスタートする第8次港湾整備計画において、当港はどのような役割と位置づけがなされ、整備の方針が示されるのでありましょうか。 最後に、看護問題の斎藤といたしまして、県立看護系短大について一言お尋ねいたします。 本県における看護職員高学歴化傾向は、既に16年前、新大医療短期大学部発足時に始まっているのであります。しかし、これまで看護職員の量的確保に力点が置かれ、資質向上の面、すなわち高学歴化対策がやや放置されてきた嫌いがあります。 今本県はようやく本格的な高学歴化、資質向上期に差しかかるいわば過渡期を迎えたところといえましょう。県立看護系短大は数歩前進ではありますが、量的確保と質的向上のいわば妥協の産物であります。 県立看護系短大は3年課程であり、既存の中央・新発田の看護専門学校2校も同様に3年課程であります。その目的とするところは、短大も専門学校もいずれも同程度の知識、技能を身につけた資質の正看護職員を養成するところにあり、カリキュラムもほぼ同様なものとなるのであります。 とすれば、学校教育法1条項として、教授陣の充実、施設設備の向上はあるものの、基本的には量的確保の増枠により比重がかかっているものと考えます。したがって、今日的には、短大の設立では、事ほど高学歴化とも、またそれほど飛躍的な資質向上とも言えるかどうかは疑問であります。 今日の医療水準の高度化、組織医療としての看護の役割の増大は目覚ましいものがあり、こうした社会的要請、医療現場の実態、他職種の高学歴化などにかんがみ、看護職員養成機関におけるすぐれた教員人材の養成なども考えるならば、私はやはり短大では不十分であると指摘せざるを得ません。 一方、今後、訪問看護などの需要増大が見込まれるため、保健婦あるいは助産婦課程をあわせて習得できる看護職員養成機関が望まれております。 ついては、新構想は短大ではなく4年制大学とし、その目的と理念を明確にし、例えば将来、管理や指導、教育、研究などの面でも大いに活躍できる看護職員等の養成などを目指すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。 最後ではございますが、新年度予算において、村上養護学校の高等部設置に向け、調査検討を始めるとの知事の御方針に対しまして、県北の精薄の児童生徒を持つ家族ともども、心から感謝申し上げる次第であります。 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)   〔知事金子清君登壇〕 ◎知事(金子清君) 最初に、県単独事業の考え方でございますけれども、平成3年度の予算編成に当たりましては、県民ニーズの動向や社会経済情勢の推移に即応した施策を重点に、県単事業を強化したところでございます。 特に県立図書館、近代美術館、県立総合プールなど、大規模文化・スポーツ施設の建設を促進することや、都市基盤、生活環境の整備、文化・アメニティーづくり、豪雪・中山間地対策、観光関係に重点的かつ効率的に配分を行いまして、地方財政計画を上回る16.1%増の県単事業の予算を計上させていただいたところでございます。 また、土地基金の活用についてでございますが、新潟県土地開発公社への貸し付けによりまして、公有地の取得を図ってきたところでございます。今後ともさらに機動的な資金の有効活用を図ってまいりたいと思っております。 次に、シンクタンクの設立についてでありますが、環日本海交流圏における本県の中枢機能を高めますためには、環日本海圏に関する調査研究を行うシンクタンクの設立が必要と考えておりまして、現在検討を進めておるところでございます。 このシンクタンクの設立スケジュール、法人格及び研究員等の人的構成などにつきましては、平成3年度に基本計画を策定することとしておりまして、その中でこれらの事項を明らかにしたいと考えております。また、この結果を踏まえまして、国、経済界などの支援協力をも得ながら、シンクタンクの設立を図ってまいりたいと考えております。 次に、研究活動の目的、対象などについてでありますが、先週の布施議員の御質問にもお答えいたしましたが、研究活動の対象地域といたしましては、日本海を取り巻く対岸諸国のうち、極東シベリア、中国東北3省及び朝鮮半島を対象としてはどうかと考えております。 また、研究活動の目的といたしましては、経済交流などの障害となっております対岸諸国の情報不足を解消するため、まず各国の基礎統計、情報の一元的な収集、整理、分析と、各国の地域開発に対応した地域経済協力の可能性などの検討、さらには海洋資源の有効利用など、環日本海地域が全体として発展するための共同プロジェクトの提案等の研究をテーマとすることが適切ではないかと考えておりますが、いずれにいたしましても、来年度の基本計画の策定の過程におきまして、十分論議をしたいと思っております。 次に、新たな場所に3,000メートル滑走路を有する新空港を整備してはどうかということでございますが、この点につきましてはいろいろと今御議論があるところでございます。今議会でもいろいろとお話し申し上げましたけれども、新潟空港をめぐる諸課題につきましては、運輸省のOBの方、あるいは現役の方々にも入っていただきまして、昨年6月に設置いたしました新潟空港を核とした地域づくり懇話会で検討いただいておるところでございます。その中で、新潟空港の将来像としての滑走路の再延長問題も含めて、今いろいろと議論をしていただいておるところでございます。 いずれにいたしましても、この懇話会で近く最終的な意見を取りまとめていただく予定でございますので、その結果を待ちまして、必要な調査や関係機関の御意見などを参考にして、できるだけ早期にこの問題に対する結論を出したいと思っております。 次に、対岸諸国との交流を促進するため、語学習得などを行う語学研修センターを設置すべきではないかという御意見でございますが、歴史的、文化的にも我が国とは異なる対岸諸国との交流を深めていきますためには、語学力を身につけた人材の養成が不可欠であるというふうに考えております。 そのため、県といたしましては、県立女子短期大学に国際教養科の設置を今考えているところでございますし、また、民間におきます国際情報大学あるいは日ソ大学の設置につきまして、県としても支援をしてまいりたいと考えておるところであります。 さらに、県といたしましては、昨年10月に設立をいたしました財団法人新潟県国際交流協会で、既にハングル語講座を開設したところでございます。さらに現在、ロシア語講座の開設についても検討しているところでございまして、当面、この国際交流協会での語学研修に力を入れてまいりたいと思っております。 また、将来的には、ロシア語の教師の受け入れなどについても検討してまいりたいと考えております。 御提案の語学研修センターにつきましては、来年度、中核的国際交流施設整備のあり方を検討することにいたしておりますが、その中で総合的に検討したいと思っております。 次に、日本海沿岸東北自動車道と東北横断自動車道酒田線との早期接続についてでございますが、御承知のとおり、新幹線あるいは高速自動車道は全国ネットワークの形成を図るものでございまして、特に本県が日本海沿岸地域の中核としての役割を果たす上で、関東、関西、東北など、各地域と有機的に連結されることが必要と考えております。 このため、東北地方とを結びます日本海沿岸東北自動車道の整備促進につきまして、受け入れ体制を確立すべく、新潟―村上間の都市計画決定の作業を現在進めておるところでございますけれども、新潟―村上間の整備計画及び村上―県境間の基本計画の早期決定につきましては、今後とも国など関係機関に対しまして、より強力に要望してまいりたいと思っております。 次に、県立看護系短大構想は、4年制大学として管理、指導などができる看護職員の養成を目指すべきではないかという御意見でございますけれども、今回、短期大学の設置を検討いたしましたのは、看護職員の絶対数の不足に対応することはもちろんでございますが、今後の高福祉社会の実現のためには、豊かな教養と判断能力、応用能力を身につけた資質の高い看護職員の養成が急務でございまして、そのためには高等教育機関の設置が必要であるという観点から、短期大学の設置を決めたわけでございます。 また、4年制看護大学の卒業者の進路状況や定着率の状況から見まして、本県の看護職員確保のためには、短期大学の設置がより適切であろうと判断をいたしておるところでございます。 また、4年制大学といたしました場合には、全国的に数が少ないため、県外からの入学者が相当数に上ることが想定され、また、卒業生の進路状況に加えまして、県内定着も期待できない面があるのではないかというふうにも考えております。 なお、保健婦、助産婦の養成課程につきましては、現在、専攻科として設置することにつきまして検討をしているところでございます。 また、看護教育の教員養成につきましては、県内の需要の面から見まして、当面は現在の教員研修で対応してまいりたいと考えております。   〔総務部長小川和雄君登壇〕 ◎総務部長(小川和雄君) 財政問題に関しまして、まず税収の見積もりに当たっての経済見通しについてでございますけれども、我が国の経済は、政府の経済見通しや各種経済調査機関の予測などによれば、景気の拡大を支える個人消費と設備投資には以前のような高い伸びは見られないものの、引き続き堅調に推移するものと見られております。 このような経済見通しをもとに、本県の経済動向を見てみますと、湾岸戦争などが本県経済に与える今後の影響について注視していく必要があると考えておりますが、日銀の12月に公表されました企業短期経済観測や2月の県内金融経済動向などによりますれば、一部の業種に企業利益の減少が見られるものの、設備投資や個人消費を軸といたしました内需の好調が持続している状況でありますので、本県経済は引き続き堅調さを維持していくものと予測しているところでございます。 したがいまして、来年度の県税収入は、このような本県経済の動向、有力企業の業績見通し、地方財政計画の各税目の伸びなどを総合的に勘案して見積もったところでございます。さきに知事がお答えしましたとおり、法人事業税、個人県民税、不動産取得税などに増収要因を見ておりますし、法人県民税と核燃料税などに減収要因を見込んで見積もったところでございます。その結果、2年度の当初予算計上額を7.5%上回った2,450億円の税収が確保できると考えて、編成をしたところでございます。 次に、本県の歳入構造の全国比較についてでございますが、本県の歳入構造は地方交付税、国庫支出金などの依存財源の割合が全国平均よりも高く、自主財源の大部分を占めます県税収入の割合が低くなっており、国庫依存型であるのが特徴となっております。 全国比較が可能な平成元年度までの普通会計決算について見ますと、一般財源比率につきましては、地方交付税の大幅な伸び等により順調に改善し、全国との格差も年々縮小しているところでございます。しかし、自主財源比率につきましては、元年度において全国平均が55.2%でありましたのに対しまして、本県は36.4%と低水準でございますので、これを引き上げる努力をする必要があると認識をしております。 そこで、県税収入の増大を図る必要があることから、企業誘致や観光、地場産業振興策などに積極的に取り組んでまいっているところでございます。   〔土木部長會田正君登壇〕 ◎土木部長(會田正君) 岩船港の現況と今後の整備方針についてでありますが、防波堤の位置は、その港湾の骨格を定める基本となるものでございまして、気象条件や周辺の地形、港湾の将来計画等を考慮して総合的に判断し、適切な規模及び配置で計画されるものでございます。岩船港につきましても、これらの諸条件を慎重に検討し、整備を進めてきたところであります。 また、今後の整備方針につきましては、平成3年度を初年度といたします第8次港湾整備5カ年計画の中で、県北地域の物流拠点港として位置づけまして、安全性向上のための防波堤の改良、岸壁及び臨港道路の整備、潤いのある港湾空間を確保するための緑地の整備等について、緊急性を考慮しながら、計画的に港湾機能の充実を図る方針といたしております。   〔企画調整部長山﨑市郎君登壇〕 ◎企画調整部長(山﨑市郎君) 平成2年に実施いたしました国勢調査結果で、社会動態減少率が前回調査に比べ拡大したことについてでありますが、これは御指摘のように、本県人口の自然動態は常にプラスになっているものの、社会動態は、我が国の社会経済環境の影響を受けまして、マイナスで推移しております。これは首都圏への人口等の一極集中と表裏の関係にあるものと思われます。 本県の人口動態が、今回、出生率の低下、高齢化の進展とも相まって、社会動態の減少率が拡大したことは、大変残念なことと思っております。今後とも産業、社会基盤の整備などに積極的に取り組みながら、若者の定住を促進していきたいと考えております。 また、近隣各県の社会動態も、宮城県、群馬県を除き、いずれも減少率が拡大しているとのことですが、減少率の差異は、各県の人口構造や社会経済環境の相違から生じたものと考えております。 次に、本県人口の見通しについてでありますが、新長期構想における将来人口は、定住促進対策や産業経済の活性化を図ることによる目標値であります。また、厚生省人口問題研究所の推計は、過去の実績を一定と仮定するなどして試算したものであります。 今回の国勢調査結果では人口の減少が見られましたが、今後、企業誘致の促進や産業の一層の活性化を図り、また、快適な生活環境づくりなど総合的に取り組むことにより、若者の定住を促進するとともに、東京一極集中の根本的是正を国に働きかけるなどしながら、環日本海交流圏の中核県にふさわしい人口の確保に努めてまいりたいと考えております。   〔教育長堀川徹夫君登壇〕 ◎教育長(堀川徹夫君) 高等学校の中途退学者等の問題でございますが、学校側に起因する問題といたしましては、目的意識を持たずに入学してくる生徒に対しまして、将来への目的意識を確立させ、意欲的に学校生活を送らせるための指導、あるいは新しい環境への適応指導、好ましい人間関係づくりの指導などが必要と考えております。 このようなことから、一人一人の生徒に対してきめ細かい対応をするため、教育相談や進路指導の充実、多様な選択科目の取り入れや習熟度別学習などによる指導方法の工夫改善を行うとともに、ホームルームやクラブ活動などを充実しまして、生きがいを持たせる指導の推進に、なお一層努めてまいりたいと考えております。 次に、高等学校不適応対策でございますが、平成2年度から学校不適応等対策委員会を設置し、中退に至る原因や背景について、具体的な事例に即して詳しく分析をしたり、生徒への指導方法の検討などを行っております。 また、研究推進校を2校設置しまして、集団宿泊研修などを通して、中退防止についての実践的な研究を進めているところであります。 これらの成果を指導資料としてまとめ、各学校に配付することによりまして、各校におきます学校不適応生徒に対する指導の充実を図ることといたしております。 次に、在学途中で学科の変更や他校への転校を希望した場合についてでありますが、他の高等学校に転学を希望する生徒のあるときには、教育上支障がない場合には、校長が転学を許可することができると定められております。しかし、同一校内の学科の変更あるいは他校の異なる学科に転入学する場合には、学科ごとに学習する内容が違うことなどによりまして、移った学科の教育課程を履修できる見込みがあるかどうかが問題となり、現実には難しい点がございます。 次に、社会人の高等学校への受け入れについてでございますが、高等学校入学者選抜においては、年齢や社会人のいかんにかかわらず、入学資格を満たしている者に門戸を開いているところであります。しかし、入試の方法などで社会人だけを特別に扱うことは大変困難であると考えております。 なお、現在多くの社会人が定時制や通信制で学んでいるところでありますが、今後とも社会人が容易に学べるよう、単位制高等学校のあり方等を含めまして、検討を進めてまいりたいと考えております。 次に、生涯学習の諸施策の推進についてお答えいたします。 都道府県が生涯学習に取り組む場合においても、学校教育と社会教育はもとより、職業能力開発や社会福祉など、生涯学習に関する各分野の連携協力を図りつつ、諸施策を一体的かつ効率的に進めていく必要があると考えております。 このため、従来から庁議の部会といたしまして、知事を部会長とする生涯学習推進部会を設置し、庁内体制の整備に努めてきたところでありますが、この運営にかかわる事務については、社会教育などを通じて、県民の生涯にわたる学習機会の提供などに中心的な役割を果たしている教育委員会が担当しているものであります。 今回の組織改正は、この考え方に立ち、推進体制の充実強化を図ったものであります。今後は、生涯学習推進課を中心といたしまして、当県の生涯学習についての基本構想の策定や県民のさまざまな課題に対応した学習機会の充実、学習施設の整備などに、より積極的に取り組んでいくこととしております。 次に、生涯学習功労者の表彰についてでございますが、生涯学習の法令上の定義はありませんが、基本的には国民一人一人が生涯にわたって行う学習活動とされており、組織的な教育活動である社会教育よりもいわば広い概念でありまして、スポーツあるいは文化、趣味、レクリエーション活動の中でも行われるものであります。 御指摘のとおり、現行の教育委員会表彰規則には、生涯学習功労者に関する規定はありませんが、地域の中にあってさまざまな分野にわたる学習活動において、例えば啓発や相談を通して県民の学習活動を奨励、援助することに顕著な功績を上げられた方に対しましては、現行の第2条第5号の社会教育の功労者、あるいは第7号のスポーツ振興功労者、あるいは第12号のその他教育委員会が適当と認めた者等の各号を適用し、表彰も検討することになろうかと考えております。 次に、生涯学習功労者表彰の明文規定を設けることについてでございますが、生涯学習の振興は、教育、文化や健康、職業能力開発、社会福祉など、それぞれの施策を充実するとともに、相互の連携協力を図ることによって進められるものであります。 したがいまして、教育委員会において独自規定を設けるには、各部局の既存の表彰制度との調整が必要になってくると思いますが、生涯学習の振興の今後の推移を見ながら、将来検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(轡田勝弥君) 斎藤勲君の質問は終わりました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(轡田勝弥君) これにて一般質問は終了いたしました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(轡田勝弥君) お諮りいたします。 議案審査等のため、明3月6日から3月8日まで及び3月11日から3月13日までの6日間、本会議を休会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(轡田勝弥君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、3月9日及び3月10日は休日のため、本会議を休会といたします。   ――――――――☆―――――――― ○議長(轡田勝弥君) 本日の議事日程は終了いたしました。 次会は3月14日午後1時から開くことといたします。 本日はこれにて散会いたします。 △午後0時4分散会...